「オードリー・ヘプバーン主演の不朽の名作」などと、もてはやされる『ティファニーで朝食を』。今回は、オードリー・ヘプバーンの美貌やファッションによって忘れ去られがちな、本作のストーリーに注目して解説していきます。
知られていない制作秘話や、小説版とのラストシーンの違いについても触れているので『ティファニーで朝食を』についての理解を深めたい方は、是非この記事を読んでみてください。
更新日 : 2025年03月26日

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「オードリー・ヘプバーン主演の不朽の名作」などと、もてはやされる『ティファニーで朝食を』。今回は、オードリー・ヘプバーンの美貌やファッションによって忘れ去られがちな、本作のストーリーに注目して解説していきます。
知られていない制作秘話や、小説版とのラストシーンの違いについても触れているので『ティファニーで朝食を』についての理解を深めたい方は、是非この記事を読んでみてください。
2021年7月現在、『ティファニーで朝食を』を視聴できる動画配信サービスは以下の通り。
VODサービス | 配信状況 | |
U-NEXT | ◎ (無料トライアルあり) | |
Lemino | △ レンタル | |
Prime Video | △ レンタル | |
Netflix | ✖ | |
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どこまでも魅力的なオードリー・ヘプバーンとジョージ・ペパードの都会派センスが溢れる洒落たラブ・ストーリー。
ニューヨークの安アパートに暮らすホリーの日課は、一流宝石店ティファニーのショー・ウィンドウを見ながら、朝食のクロワッサンを食べることだった。ある日彼女のアパートの隣室に、作家志望の青年ポールが越してきた。ポールはたちまち、自由気ままで、どこか謎めいたホリーに惹かれていく……。
題名 | ティファニーで朝食を (原題:Breakfast at Tiffany’s) |
作者 | トルーマン・カポーティ |
監督 | ブレイク・エドワーズ |
主演 | オードリー・ヘプバーン ジョージ・ペパード |
発表日 | 1961年 |
原作は、作者トルーマン・カポーティによって執筆され、1958年に『エスクァイア』という、アメリカで創刊された世界初の男性誌にて発表されました。
アカデミー賞の5部門受賞。
オードリー・ヘプバーンは、見事主演女優賞にノミネート。そして彼女が歌う主題歌『ムーンリバー』は主題歌賞を受賞しました。
ゴールデングローブ賞では2部門を受賞。
作品賞と主演女優賞(オードリー・ヘプバーン)にノミネートされました。
主人公のホリー・ゴライトリーは、自由奔放に、周囲に迷惑をかけながら、享楽的な生活を送る女性。かつて、テキサスの牧場を持つ年配の獣医と結婚していたが、家出をし、カリフォルニアで女優としてスカウトされる。また、そこからも逃げ出し、ニューヨークでお金持ちの男性とデートをして暮らしている。
オードリー・ヘプバーンについて
| オードリーはこの時32歳で、一歳児の母でした。でも、そんなことは微塵も感じさせない、可憐で大胆な演技を見せてくれました。このホリーのキャラクターは、今までのオードリーのイメージとはかけ離れた役柄でしたが、まさにこの作品により、彼女の新しい魅力がハリウッドに影響を与え、オードリーの60年代がはじまったのです。 |
ポール・バージャックは、ホリーと同じマンションに住む作家である。短編集を刊行し、将来有望な新人とタイムズ紙で評価されるも、その後は1冊の本も出せずにいる。既婚のデザイナーである女性”2E”に養ってもらっており、ローマから戻った2Eからマンションの部屋を用意してもらう。そこは、2人の密会の場所にもなっている。ホリーの兄フレッドに似ているそう。
ジョージ・ペパードについて
| ペパードはその容貌とエレガントなマナー、優れた演技能力によってオードリー・ヘプバーンと共演しました。そして、本作が、ペパードが出演した作品の中で最も有名な映画となり、彼をメジャーな映画スターに押し上げました。 |
ここでは、本作を見ている時に多くの人が疑問に思う部分、3つをピックアップして考察します。
ホリーはポールに「化粧室に行くたびに50$貰える」と話していました。
アメリカでは、化粧室(特に高級レストランなど)を利用するにはチップ(=サービスを受けたことに対して、心づけとして支払うお金)を支払うシステムがあります。
そして、大富豪の男性とデートした際、女性が「お手洗いに行ってくるわ」と言ったら、男性はチップを渡してくれるのです。
そのチップの額は、平均的な1,2$(映画上映当時で300-600円)などではなく、50$(映画上映当時で2万円ほど)を貰えようですね。
ホリーがどんな男性たちと、どのようなお付き合いをしていたのかよく分かるシーンです。
ホリーはいつもおしゃれな服を着て、お金持ちなおじさんたちとデートしていました。
全ては、玉の輿に乗って「自由」を手に入れるために。
こう聞くと単にお金が全ての、自由奔放でわがままな女性に見えますが、実はホリーには彼女をそうさせる過去がありました。
ホリーは14歳の時にかなり年上の獣医のゴライトリーと結婚しています。
結婚の経緯は語られていませんが、ホリーとその兄フレッドが「家出をし、ゴライトリーの家の食料を盗んでいた」ということから、ゴライトリーは2人を不憫に思い、結婚という形で家族になったのだと思います。
さらにゴライトリーには、亡くなった妻との子供が4人いました。なので、ゴライトリーが獣医で農家を営んでいたとしても、1人の稼ぎで7人で生活するのは、決して豊かとはいえなかったでしょう。
このような過去を抱えた19歳の少女が、都会を夢見て、大富豪の男性とお付き合いしたい、豊かになって唯一の肉親の兄と暮らしたい、と思うのは無理もないように思えます。
そして、また貧乏な生活に戻りたくない、誰かに拾われて貧しく暮らすなんてもう嫌だ、という強烈な不安が彼女のいう「いやな赤」でしょう。
そんな気持ちを抱えながら、ルラメーという本名を捨ててホリーとなった彼女は、お金の中に人生の価値を見出そうとしました。
ですが、ホリーは元夫の姓である”ゴライトリー”という名前は捨てていません。
そういった部分から、彼女が実は本当は「自由」や「お金」なんかより、「愛」や「つながり」を必要としている気持ちが伺えます。
芸能の親玉であるO・J・バーマンは、パーティーで初めてポールに出会った時と、ホリーが逮捕された時の電話で「彼女は本物のニセ物だ。」とポールに話していました。
その言葉は、ホリーが「自分の気持ちを無視して、嘘ばかりをつき、しかもその嘘を本物だと思って生きている」ことを示唆しています。
先ほど説明したように、ホリーはいつも「お金」と「自由」をつかもうと必死でしたが、心の底では「愛」や「つながり」を求めていました。そんな彼女の本質を上手に表現したセリフです。
1度目にバーマンがそのことについて話した時は、理解できなかったポールでしたが、しばらくの付き合いでホリーの性格を知り、2度目のバーマンの質問に対して「分かります。」と答えるのでした。
本作を語るうえで欠かせない、小説版との違いについてここでは説明します。
原作の作者トルーマン・カポーティは、ホリー役をマリリン・モンローに演じてもらうつもりでいたそう。でもその時期にマリリン・モンローは長く続いたセックスシンボルのイメージからの脱却を考えていたことから、オファーは断られてしまいました。
そんな時、名前が挙がったのが、『ローマの休日』や『麗しのサブリナ』の主演を務めたことで、当時ハリウッドで人気を集めていたオードリー・ヘプバーンです。
オファーが来た際、オードリー・ヘプバーンは30歳を迎え、第一子を身ごもっている時でした。
そんな彼女は、今まで、純粋で少女のようなあどけなさのあるキャラクターばかりを演じていたので、自分の年に相応しく、新しい役柄に挑戦してみたいと考えていたそうです。
そして、ホリーという、天真爛漫かつ、複雑な内面を持った女性は、オードリー・ヘプバーンがちょうど探し求めていた役柄でした。
小説版の『ティファニーで朝食を』のホリーの設定はコールガール(娼婦)でした。
しかし、オードリー・ヘプバーンの事務所から、脚本からそういうニュアンスは省くよう要請があったようです。
よって、映画の中でのホリーはいつもお金持ちの男性といるように描かれますが、彼女がコールガールであると決定づけるようなシーンはありません。
また、小説版にはあの有名なホリーがティファニーの前でクロワッサンを食べるシーンや、ティファニーでお菓子の景品の指輪に名前を彫ってもらうロマンティックなシーンもありません。
それらのシーンはどれもオードリー・ヘプバーンのために付け加えられたシーンでした。
自身が書いた小説と全く違う映画を観た作者トルーマン・カポーティは、オードリー・ヘプバーンがアカデミー賞とゴールデングローブ賞にノミネートされてもなお、ホリー役を彼女が演じたことを悔いていたそうです。
そして、映画版『ティファニーで朝食を』が放送された15年後に発表された映画『タクシードライバー (1976年)』で売春婦役として出演していたジョディ・フォスターを見て、「彼女にホリー役を演じてもらいたかった。」とあるインタビューで答えていました。
▽ジョディ・フォスターが登場した映画『タクシードライバー』の解説記事はこちら▽
映画版と小説版の違いがよく分かるのはラストシーンです。
映画では、ポールの情熱的な言葉によって、『自分に必要なのはお金より「愛」だった』とホリーが気づいて、2人は結ばれるという結末が描かれます。
でも、小説版ではホリーはポールとは結ばれません。
▽以下、小説のラストシーンのまとめです▽
ホリーは刑務所からでると空港に向かい、どこかの国へ旅立っていきます。そして、名無しの猫は空港へ向かう途中で捨てられてしまいます。 その後、春になってホリーからポールの元に手紙が届きます。その手紙には、彼女がアルゼンチンのブエノスアイレスにいること、住所が決まったらまた手紙を送る、という内容が書いてありました。でも、新たな知らせはなかなか来ることはありませんでした。 最後に一つだけ、ポールが伝えたかったことは、ホリーが捨ててしまった猫のこと。その猫はポールの向かいの家の人に拾われ、温かそうな窓際で幸せそうに過ごしているということでした。ポールは、猫が安息の地を見つけたように、ホリーもティファニーのような落ち着ける場所を見つけたのだろうか、と思い馳せるのでした。 |
小説版のホリーが手に入れたのは、誰にも所有されない「自由」でした。
それに対し、映画版のホリーは所有されることで「愛」を手に入れました。
しかし、小説でも映画でも、ホリーのその後は明かされていません。
さて、「自由」を手に入れたホリーと「愛」を手に入れたホリー。2つの世界線に存在する彼女たちは果たして幸せになったのでしょうか?
映画版の『ティファニーで朝食を』がなぜ名作と言われたのか、それは他ならぬオードリー・ヘプバーンの魅力です。
当時、世界中で美しいといわれる女性の基準は、グラマーでセクシーなマリリン・モンローやブリジット・バルドーのような女優達でした。
そんな中、華奢な身体でジバンシィのドレスをシックに着こなしつつも、どこか少女のような可憐を持つオードリー・ヘプバーンがハリウッドに新たなインパクトを与えたのです。
そして、もう一つ、この映画にオーディエンスが惹きつけられるのは、オードリー・ヘプバーンへの共感でしょう。
いつも明るくお洒落な彼女だけれど、ときおり「いやな赤」と呼ぶ不安感におそわれ、バランスをくずしたりもする。自由を求めながらも、心のどこかで愛やつながりを探している。そして、ラストシーンで自分が探していたものを見つける。
おそらく、多くの方が人生で彼女と同じような「いやな赤」を経験し、自由も欲しいけど、本物の愛も欲しいと願うと思うのです。
さて、これをマリリン・モンローが小説版通りに演じていたらどうでしょう?
セックスシンボルとして世界を魅了した彼女がこの役を演じていたら、ホリーの辛い過去や不安に私たちが共感することはなく、マリリン・モンローのセクシーさを味わう映画として、また異なった人気を集めていたのではないかと、私は考えます。
作者トルーマン・カポーティの描いた原作とはだいぶ変わりましたが、オードリー・ヘプバーンの持つ「純粋さ」と、ホリーというキャラクターが持つ「複雑な内面」が映画版の『ティファニーで朝食を』に新しい世界観を生みだし、不朽の名作として今も人気を誇っているのです。
最後に、今回解説した映画『ティファニーで朝食を』の舞台を紹介します。
ジバンシィのカクテルドレスに、パールネックレスを身につけたオードリーがティファニーの前でコーヒー片手にクロワッサンを食べるオープニングシーン。
それは、ニューヨーク五番街にある「Tiffany & Co.(ティファニー)」で撮影されました。
しかし、2021年にニューヨーク5番街のティファニーは大改造をしたので、現在は映画と同じようなショーウィンドウはもう見ることができません。
ですが、2017年11月にカフェ「Blue Box Cafe」が同じビルの4階にオープンし、”ティファニーで朝食を”を実際に体験することができます。
2つ目に紹介するのは、物語にもよく登場する主人公ホリーのアパート「Holly Golightly Apartment(ホリーゴライトリーアパートメント)」です。
そこからティファニーへは、車で5分、歩いて20分ほどの距離です。
ちなみに、そのアパートはCostalea Holdings Limitedに597万ドル(約4億8000万円)で購入されたそう。
ホリーが14歳の時に結婚した夫に別れを告げるシーンの舞台となった「パークアベニュー(Park Avenue)」。
マンハッタン区を南北に縦断する幅員43mの大通りで、沢山の車やバス、タクシーが行きかい、とてもにぎやかで忙しい場所です。
バスに乗った夫ゴライトリーを、なんとも辛そうな表情で見るホリーが印象的でした。
以上、映画『ティファニーで朝食を』の解説でした。
今回の記事を読んで、もう一度オードリー・ヘプバーンの魅力を体験したいという方、小説は見たことあるけど、映画版も見てみたいと思った方は、ぜひ視聴してみてくださいね。
2021年7月現在、『ティファニーで朝食を』を視聴できる動画配信サービスは以下の通り。
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